ギフテッド傾向があり、学校に馴染みづらい子どもとその保護者の方を支援している「ギフテッドプロジェクトsprinG」。
2022年11月からsprinGの活動に積極的に参加してくださっていた小学4年生のNakkyさんが、この春、sprinGの活動を卒業されるということで、お母さまに、これまでの思い出やこれからの目標、同じようにギフテッドの子どもを育てるご家庭へのメッセージなどをうかがいました。

sprinG主催のクイズ大会でのNakkyさん。解答ボタンを押せて感無量だったそう
sprinGとの出会いと参加のきっかけ
息子が小学2年生のころ、日本テレビ系の「スッキリ」や新聞で、sprinGの「できる〜む」が取り上げられているのを見ました。
息子に番組の録画や記事の切り抜きを見せたところ、「自分と同じような子がいるかもしれない」と興味を持ったため、参加を決めました。
当時、授業が苦痛に感じられてしまい、学校に行けない日も多かった彼にとって、同じような境遇の子どもたちが集う場所が心の支えになるのではないかと期待してのことでした。
歳の離れた兄がいて、少し年上の人との関わりも大事だなと感じていたので、大学生のお兄さん・お姉さんとの交流も魅力でした。
私自身は、息子が小さい頃から、「普通」の子どもとは違う特性を持っていると感じており、息子が学校生活に違和感や困難を感じることを予想していました。そのため、だいぶ前から、同じような子どもたちと交流でき、彼の気持ちが前向きになれるような機会があったらいいなと探し続けていて、そのような中でsprinGに出会えたことは幸運だったなと思います。
sprinGの活動を通じて得た経験
sprinGでは、親子であらゆる活動に参加しました。
中でも一番長い時間を過ごしたのは、平日の夕方に毎日開放されている、メタバース上の居場所「できる〜む」です。ゲームやクイズが大好きな息子は、パズルゲームやひらめき系の言葉遊びなどを通じて、同じ興味を持つ仲間と楽しい時間を過ごしました。参加後に、「(自分と同じような子どもたちが)たくさんいるんだね」とポロッと言った一言が私の心にも残っています。
できる〜むでの体験は、親子の会話のきっかけにもなり、家庭内でのコミュニケーションも豊かになりましたし、帰ってきたらできる〜むが待っているからと、学校にも頑張って行ってみようという日も増えました。
また、大学生と1対1で対話ができる「個別メンタープラン」では、集団で過ごすできる〜むとはまた違った「自分の好きな話だけができる時間」を持つことができました。ここでストレスを発散し、元気をもらっていたようです。自分の話や考えを受け入れてもらえる経験は、自己肯定感を高めるとともに、達成感を感じる貴重な機会にもなりました。
印象的という意味では、対面イベントもとても思い出深いです! クイズが大好きなので、東大王の水上颯さんが来られたイベントでクイズに答えたり、そこでいつもオンラインで話しているできる〜むの友達と対面できたことが嬉しかったみたいです。
保護者向けの親の会では、保護者同士の話し合いもそうですが、特に専門家による教育や医学の視点からの勉強会がありがたかったと感じています。毎回異なるトピックの情報を得ることができるので、仕事で参加できなかった時も資料を見て学びを得るようにしていました。
活動を通じて見えた成長
Nakkyさんの変化
sprinGの活動を通じて、仲間意識を持ち、他者を思いやる行動ができるようになったと感じています。自分の得意なことを優しく教えたり、苦手なことでも周囲を応援したりしながら参加する様子を見て、驚いたのを覚えています。また、自分の気持ちを伝える方法や、他者と楽しむために自分の気持ちを抑えるという自己調整を学び、社会性が大きく成長したように思います。
保護者の方の変化
ギフテッドについての理解が深まり、多様な視点から子どもを見られるようになりました。自分自身が成長したことで、息子のサポートだけでなく、同じ境遇の家庭を支える存在になりたいと考えるようにもなりました。
sprinGを卒業する理由と未来への挑戦
息子が自分自身で中学受験への挑戦を決めたので、受験勉強がより一層本格化する小学5年生を前に、一つの区切りとして、親子一緒にsprinGを卒業することにしました。
塾での気の合う仲間との出会いもあって、自分の力で頑張れる状態になったと感じました。今は、私から「無理しすぎず、たまにサボっていいからね」と伝えるくらいに意気込んでいます。
また、対話を重ねた結果、学校が息子の特性や能力を認めてくれ、息子に寄り添ってサポートしてくれるようになり、学校の友達と楽しく過ごせるようになったこともとても大きかったです。
同じような状況にいる家庭に、今だから伝えられること
ギフテッドの子どもの子育てにおいては、親が子どもを理解し、周囲に助けを求めることが大切だと感じます。sprinGもその1つでしたが、学校内だけではなく外にもサポートを求めることで、子どもの可能性を広げられます。
そして何より、まずは親が元気であることが重要です。時間がかかるので焦る気持ちにもなりますが、周囲の人にも支えてもらいながら、子どものタイミングを待ちながら寄り添うことを大事に接していけば、きっといつか次のステップに進める時が来るのではないかと思います。
編集後記
このインタビューを通じて、Nakkyさんとご家族がどれだけ試行錯誤しながら支え合ってきたのかが伝わってきました。特に、Nakkyさんが他者理解を学び、成長していく様子には心を打たれました。また、常にポジティブに考え、状況を良くするために、周囲にも助けを求めながらできることを探し続けている親御さまの姿勢も素敵で、非常に参考になりました。
そして、sprinGの活動を通じて他の子どもたちと交流し、自分と同じ状況で悩んでいる子どもたちが全国に多くいることを知って元気が出たという言葉には、私たちも励まされました。
これからも、一人でも多くの子どもたちに前向きになれるきっかけを提供できるよう、精一杯活動を続けていきたいと思います。
Nakkyさんのこれからの挑戦も、心から応援しています!
(文責:井筒彩菜)
ご案内
sprinGの活動に参加したいお子さま・保護者さまへ
お子さまにギフテッド傾向があり、当プロジェクトの活動に参加希望の方には、必ず、保護者の方に「はじめての親の会」というイベントに一度ご参加いただくことをお願いしております。
おおよそ月1回のペースで開催しており、今後の「はじめての親の会」の開催については、決まり次第当団体のホームページにて告知を行ってまいりますので、イベント情報をご確認ください。
現在募集中の回の案内が出ていない場合には、もうしばらくお待ちいただけますようお願いいたします。
活動を応援してくださる方へ(寄付サポーター募集)
現在、この活動をサポートしてくださる方を募集しています。
活動を継続的に行っていくには、親の会や子ども向けイベントの会場費、スタッフ採用・人件費、オンラインバーチャル空間構築のためのサービス利用費等が必要となります。
ギフテッドの子の知的好奇心を満たしたり学校以外の居場所を確保したりするためには、習い事やフリースクールに通うためのお金がかかり、教育費が家計を圧迫しているといった声も多く聞かれます。
私たちは頂いたご寄付を先の費用支払にあて、なるべく家庭での負担が少ない形でプロジェクトを実現したいと考えています。
ギフテッドの子が、周りと違う自分を認めて好きになり、自分らしく生きていけるよう、精一杯取り組んでまいりますので、皆さまのご協力をお願いいたします。
1000円より、ご寄付を受け付けております。
活動にご賛同くださる方は、何卒ご協力をよろしくお願いいたします。
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