活動開始から1か月半。移り変わるニーズに合わせて、学校現場での直接支援も開始しました|能登地震支援の現場より

能登半島地震から1か月半が経ち、被災した子どもたちの生活は少しずつ変化しています。

水道が復旧しないこともあり、短縮時間割になっていたり、簡易給食の提供だったりと、震災前と同じようにとはいきませんが、学校が再開し始め、避難所生活を送っていた子どもたちも徐々に自宅に戻りつつあります。

ROJEでは、地震直後から、石川県七尾市内の地域施設「矢田郷コミュニティセンター」の一角をメイン拠点として子どもの遊び場を運営していますが、2月に入り学校現場での支援も追加で開始しました。

被災地の今と、現地のニーズに合わせてできることを少しずつ増やしながら活動している様子をご報告します。

また、この活動は、一般の方々のご寄付や日本財団のご支援のもと実現しております。皆さまのご協力に感謝申し上げます。

学校再開に伴い、地域の居場所の開館時間を変更

午前中は学校に行けるようになった子どもが増えたため、毎日9時から開けていた居場所の開館時間を、平日は14時からに変更しました。

しかし、保護者の方のお仕事も再開し始めたことによって、お迎えの時間が遅くなってしまう家庭があったため、終わりの時間は後ろに伸ばしました。

七尾市内にはまだ道路や建物の崩壊によって子どもが歩くには危険な箇所が多くあり、保護者の方の送迎が必須となっている家庭がたくさんあります。

子どもたちが安全に居場所を利用できるように家庭ともしっかりとコミュニケーションを取りながら、開館時間や子どもへのかかわり方をその時々で適切な形に柔軟に調整するようにしています。

七尾駅前にて。ふとしたところに道路の隆起による段差がある

居場所を利用する子どもの数は、活動開始から1か月半が経った今も特に減っていません。平日の利用者は15人程度ですが、土日は依然として30名弱の子どもたちが訪れています。

一緒に遊ぶ活動はもちろん、学習のサポートも行っていて、子どもたちは年の近い大学生をよく慕ってくれています。

小学校の中での支援を開始

七尾市の教育委員会とも連携が取れ、ニーズをもとに学校内における支援も開始しました。

市内の2つの小学校(もう1校も現在準備中)において、居場所支援や学習支援を行っています。

1校では、日中の学校生活のサポートも行っていて、大学生を中心とした教育に一定の知見を持つスタッフが教室に入り、授業の補助や休み時間に子どもと一緒に遊ぶ等の活動を実施しています。

地震から少し時間が経った今は、子どもたちのこころやからだの不調が表に出てきやすい時期ですが、教職員の方々自身も被災していたり、震災対応業務が増加したりする中で、教職員だけですべて対応することには無理があります。

そこで、ROJEのような外部団体が現場に入ることによって、学校における子どもを見守る体制を強化するとともに、教職員の負担軽減の役に立てたらと思っています。

現地の医療チームとの協力体制を構築

子どもの変化については、居場所への入室時にこころとからだの健康を見るチェックシートを実施したり、送迎時に保護者の方と会話をしたりしながら、常にアンテナを張ってきました。

すると、震災直後はいつもと変わらない様子のように見えた子が多かったのが、1ヵ月を経過したあたりから「震災前と比べて明らかに様子がおかしい」「夜寝られなかったり、行動面に気になる点がある」などといった様子が保護者や教職員から聞かれるようになってきました。これまで抱えていたストレスが表に出始めているのだと思います。

また、この時期、一般的に支援者側のケアも重要だと言われており、これまでノンストップで駆け抜けてきたスタッフの健康状態にもしっかりと目を向ける必要性を感じています。

そこで、先日、つながりのある小児科医の先生に東京から来ていただき、直接フィードバックをいただきました。また、その先生経由で現地の小児科の先生や災害医療チームとコンタクトを取ることもでき、何か緊急の事態があった際のつなぎ先を確保することができました。

現場を指揮するROJEの伊藤は特別支援の専門家であり、これまでも発達障害のある子どもをはじめ、特性を抱える子どもへの対応や環境整備について専門的な観点をもって実施してきましたが、より緊急の場合に医療的なサポートに繋ぐことができる体制を作れたことは、利用者の安心にも繋がる大きな前進だと考えています。

居場所の持つ意味が、被災者支援以上のものに広がっている

活動を続けていく中で、居場所を通して知り合った子どもたち同士で友達関係ができている様子も見られます。

そして、学校に行きたくない子どもたちにとっても地域の居場所は貴重な存在であり、頑張りをためる場となっています。また、家庭でゆっくり勉強できる環境がない子どもにとって、穏やかに勉強でき、分からないところを教えてもらえる場にもなっているようです。

これは、これまでも困難を抱えていた、あるいはそのリスクがあった子どもたちが可視化されて支援を活用しているとということだと思います。

子どもたちからは、元通りの生活が戻り、震災支援という文脈が必要なくなったとしても、地域のユース支援機関・団体に繋ぎつつ緩やかにこういった場を残してほしいという声が聞かれます。

今はまだ元通りの生活には遠く、1日1日を安心安全に過ごしてもらうことを目指して活動を続けていますが、地域にかかわらせてもらった以上、その先を見据えた支援も考えていけたらいいなと思っています。

活動継続のための資金にご協力をお願いします

活動開始から1か月半が経ちましたが、まだまだ居場所を求める子どもはたくさんいて、この活動を継続していく必要があると感じています。

そこで、ROJEでは、石川県内の子どもの居場所支援活動の実施・継続のための活動資金を募集しています。

引き続き、毎日団体一丸となって現地の方々の役に立てるよう活動して参りますので、以下のサイトよりご支援のほどよろしくお願いいたします。

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