今回は、9月23日に京都市西院の民間学童保育である「西院学童保育あそびのば」で行われた、防災イベントの様子をご紹介します。
あそびのば×わたげイベントとは?
「西院学童保育あそびのば」は、京都市西院に拠点を置く「合同会社なんかしたい」が運営する学童保育。塾が併設されているため宿題も安心して見てもらえるだけでなく、西院の地域の街並みや豊かな人間関係を活かした地域学習や、大学生スタッフさんによる様々な体験型イベントなどを通じ、子どもたちの豊かな学びを育んでおられます。
そんなあそびのばを舞台に、わたげプロジェクトのメンバーで「災害」をテーマにした小学生向けの体験型イベントを行いました。
今回は「脱出ゲーム」をイメージした企画に挑戦。わたげプロジェクトのマスコットキャラクター・わたげちゃんの姿にそっくりな怪盗「わたげっと」から出される試練を、子どもたちは無事にクリアすることができるのか!?豊かな発想力で試練を乗り越える子どもたちの様子をご覧ください。
⓪プロローグ:わたげっとからの挑戦状
イベントの口火を切ったのは、わたげっとからのビデオメッセージ。災害を起こせる大怪盗・わたげっとが出す知恵・武器・協力の試練をクリアすることができなければ、スタッフさんとみんなのおやつをいただくーーわたげっとはそんな不気味なメッセージを残していきました。
ビデオが終わって騒然とする子どもたちの前に現れたのは、わたげプロジェクトのメンバーたち。わたげっとから挑戦状を預かったメンバーが、子どもたちに「知恵の試練」を出していきます。
①知恵の試練:みんなで解こう!防災クイズ
知恵の試練では、子どもたちがわたげメンバーの出すさまざまな災害クイズを、回答を実演したり、◯か✖️かを選んだりして答えていきます。「地震が来たら、身を守るためにどうする?」といった初歩的なものから、「キッチンで地震にあったとき、ガスの火を消すのは正しい行動か?」「災害用伝言ダイヤルの電話番号は何番か?」といった高難度のものまで出題されましたが、子どもたちは迷いながらも積極的にクイズに挑戦していました。
②武器の試練:災害時のお役立ちグッズを知ろう
無事に知恵の試練を乗り越え、災害の知識を学んだ子どもたち。そんな子どもたちに、またまたわたげっとがビデオメッセージを送ってきました。
「なかなかやるなあ。だが、まだまだ君たちは力不足だ。武器の試練でもっと力をつけてくれ。」
そんなわたげっとのメッセージとともに始まったのが「武器の試練」。この試練では、子どもたちが班に別れ、防災グッズにまつわる3つのミッションに挑みます。
(1)防災グッズ選び
1つ目のミッションは、わたげメンバーの持ってきた防災リュックから、班のみんなで自分たちに必要な防災グッズを選ぶというもの。たくさんあるグッズから何個かを選ぶためには、「どんなときに使えるグッズか」をみんなで話し合って考えなくてはいけません。みんなでいろいろなアイデアを出し合い、ときに意見の違いを妥協して受け入れながら、それぞれの「防災リュック」を完成させました。
(2)並び替えゲーム「シャッフル」
2つ目のミッションでは、シャッフルというカードゲームに挑戦します。シャッフルとは、NPO法人プラス・アーツが企画した、災害時のお役立ちグッズの作り方や応急処置の仕方などの手順が描かれた4枚のカードを正しい順番に並び替えるゲームです。手軽に遊べて防災の知識も身に付くゲームで、子どもたちも描かれているイラストを頼りにしながら並び替えを楽しんでいました。
※シャッフルについての詳しい説明はこちら
(3)防災グッズ工作
3つ目のミッションでは、実際に自分たちで防災グッズ作りをしてみます。今回作るのは、新聞紙を使った紙皿。避難所で手に入れやすい新聞紙で底の深い紙皿をつくれば、配給を受け取ったりするのに役立ちます。普段からあそびのばでも工作を楽しんでいる子どもたちには、紙皿づくりもお手の物。わたげメンバーの説明をすぐに理解し、スムーズに紙皿を完成させていきました。
③協力の試練:避難所で困っている子どもたちを救え!
知恵の試練、そして武器の試練をクリアし、たくましくなった子どもたち。災害時に必要となる知識も道具も手に入れ、準備は万端です。そんなみんなの前に突如現れたのは…なんと、怪盗わたげっと!驚く子どもたちを前に、わたげっとからいよいよ最後の試練が出されます。
最後のお題は、わたげメンバー演じる避難所の子どもたちを、これまで得た知識と武器を生かして救う、というもの。お腹を空かせている子、怪我をして腕にすり傷がある子、両親とはぐれて連絡が取れない子…。今までの試練を思い出しながら、避難所の子どもを助けるために各班に別れて知恵を絞ります。
数分間の話し合いタイムが明けると、各班一斉に避難所の子どもを演じるわたげメンバーのもとに駆け寄ります。お腹を空かせている子には工作で作った紙皿を渡して食べ物をもらいにいけるようにしたり、怪我をしている子には当て布などを持っていって応急処置を実践したり、両親とはぐれた子には災害用伝言ダイヤルを教えたりと、みんながこれまでの試練の成果を生かし、見事に問題を解決してくれました。
班ごとでの子どもたち同士の協力もとても素晴らしく、話し合ってから解決策を実行するまでのスピードは、まさに大人顔負けです。流石のわたげっとも、そんな子どもたちの姿には負けを認めた様子。「今回はぼくの負けだ!」という捨て台詞とともに、あそびのばを後にしていきました。こうして子どもたちは、スタッフさんとおやつを無事に守り切ることができたのでした。
終わりに
今回で2回目となったあそびのばでのイベントですが、参加してくれた子どもたちの中には、1年半前のイベントにも参加してくれていた子の姿もありました。その子が「前やったから知ってる!」といって下の学年の子たちをリードする姿を見て、同じ教育現場で実践を重ねることの意義深さを感じる機会となりました。
不確実な災害を生き抜くための正しいマニュアルが存在するわけではありません。しかし、長い歴史の中で蓄積されてきた知恵や、身近なものをいざというときのお役立ち品にスキル、そして何よりも非常時に自分以外の人たちと力を合わせることは、きっと災害時に子どもたちの力になるのではないかと思います。そんな想いで企画した今回のイベントは、子どもたちやスタッフの方々に積極的に参加してもらえたことで、大盛況のうちに幕を閉じることができました。
今後もわたげプロジェクトでは、教育現場と協同しながら、さまざまな防災教育の実践を行っていく予定です。防災教育の取り組みに関心のある教育関係者の方、ぜひわたげプロジェクトまでご連絡ください。
※本活動は、真如苑様より助成をいただき行なっています。