こんにちは!ROJE関西の桑田です。
今回は、2月22日に京都市西院の民間学童保育である「西院学童保育あそびのば」で行われた、防災イベントの様子をご紹介します(^^)
ROJE・わたげプロジェクトのメンバーが、あそびのばスタッフの皆さんと協力し、当日だけでなく、それまでの事前学習も企画・運営してきたこのイベント。今回は、事前学習を中心に紹介した<前編>と、イベント当日を中心に紹介した<後編>の全2回にわたってお送りします!
目次
<前編>
・あそびのば×ROJEイベントとは?
・事前学習編
―①災害について知ろう:東日本大震災
―②まち探検で「きけんはっけん」!
―③YES?NO?「クロスロード」ではなし合い
・事前学習を振り返って
<後編>
・イベント当日編
―西院マップを大冒険!
―「地震クイズ」を身近なもので乗り切ろう
―得意の工作で、避難所で大活躍
―最後はみんなで防災リュックづくり!
・イベントを振り返って
あそびのば×ROJEイベントとは?
「西院学童保育あそびのば」は、京都市西院に拠点を置く「合同会社なんかしたい」が運営する学童保育。塾が併設されているため宿題も安心して見てもらえるだけでなく、西院の地域の街並みや豊かな人間関係を活かした地域学習や、大学生スタッフさんによる様々な体験型イベントなどを通じ、子どもたちの豊かな学びを育んでおられます。
「西院学童保育あそびのば」について詳しくはコチラ
そんなあそびのばを舞台に、ROJE・わたげプロジェクトのメンバーで「防災」をテーマにした小学生向け体験型イベントを行いました。「自分たちの住む町で災害がおこっても、子どもたちが命を守れるように」。そんな想いで、1月下旬からあそびのばスタッフのみなさんと綿密なミーティングを繰り返し、当日を迎えました。
事前学習編
今回のイベントは、「子どもたちやスタッフさんが受け身になることなく、主体的に防災について考えられるように」という想いから、わたげプロジェクトのこれまでの授業実践・防災ゲーム体験会のアイデアをヒントに、あそびのばスタッフさんがアレンジを加え、子どもたちに複数回の事前学習を行っていただきました。<前編>はそんな事前学習の様子をお伝えします!
①災害について知ろう:東日本大震災
最近もっとも日本に衝撃を与え、様々な教訓が伝えられているのが、2011年3月11日に発生した東日本大震災。そんな東日本大震災について、あそびのばスタッフさんが死者数や電気・水道などのインフラの被害状況を調べ、子どもたちに分かりやすく発表してくださいました!
ライフラインの復旧までにかかった時間を当てようとする子どもたち。
思ったよりも復旧までの道のりが長いことにびっくり…!
自分たちと同じ年頃の子どもたちが数多く亡くなっていたことや、水や電気が思った以上に長く使えなかった事実に、子どもたちはとても驚いた様子。被害状況以外にも、「救援物資はどこから来るんだろう?」「お母さんは震災の日どうしてたんだろう?」など、たくさんの疑問を抱き、スタッフさんと一緒に考えました。
②まち探検で「きけんはっけん」!
あそびのばでは、西院を舞台にした地域学習、その名も「まち探検」を行っています。まち探検は、子どもたちが自分の育つ西院のまちを探索し、おもしろかったものや興味をもったものについて探求するプログラム。今回は防災ゲーム「きけんはっけん」を用いて、まち探検を防災バージョンにアレンジして実施しました。
まずは子どもたちみんなで「きけんはっけん」に挑戦!「きけんはっけん」とは、日本赤十字社とNPO法人プラス・アーツが企画・制作した、間違い探し形式の防災ゲームです。大きなシートに災害前・災害後のイラストが描かれており、絵を順番に見て災害時の行動として間違った行動をしている人を探し、理由まで考えてもらいます。
「きけんはっけん」を囲んで、子どもたちは大盛り上がり!
ゲームを前に、興味津々の子どもたち。「橋の側は落ちちゃうから危ないんちゃう?」「高い木のところは雷が落ちて危ない!」など、たくさんの意見が飛び交います。
しかし、元気よく意見を言っていた子どもたちも、スタッフさんが過去に嵐山が浸水したときの映像を見せると一変。自分たちもよく見知った光景の変わり果てた姿を、固唾をのんで見つめていました。「今ゲームでやったことは、ほんまに起こるかもしれんことなんよ」というスタッフさんの言葉に、災害の怖さを身を持って知ったようでした。
災害で変わるまちの姿をイメージしたら、”防災のメガネ”をかけて西院のまちを探検!普段何気なく通っている学校や公園への道も、「この電柱、地震が起きたらどうなるんだろう?」「あのガラスは大丈夫かな?」と、災害発生時のまちの姿をイメージして危険な箇所を見つけていきました。
災害を「自分事」にして、いざ、まち探検!
③YES?NO?クロスロードではなし合い
阪神・淡路大震災の教訓をもとに開発されたゲーム「クロスロード」。災害時に訪れる「究極の選択」を、みんなで「YES」「NO」の書かれた2枚のカードのどちらかを出して考えます。わたげプロジェクトでもワークショップや学校での授業企画で何度も扱ったこのゲーム。今回は、あそびのばスタッフさんがこのゲームをもとに、「子どもたちにとって分かりやすい問題」にアレンジして行ってくださいました。
今回扱った問題は、次の5つ。
1.かっこ悪いけど、家具に留め具をつけるのか
2.夜9時(子どもたちが寝始める時間)に近くの川で洪水の恐れが!避難する?
3.避難所にペットを連れていく?
4.自分のやりたいこと(勉強や遊びなど)をやめて、避難所のお手伝いをやる?
5.学校で地震に遭遇!一緒にいる友達と避難するか、家族の様子を見に行くか
ゲームの前に東日本大震災時の避難所の様子を動画で学び、準備万端!ゲームを実際にやってみると、自分の意見が迷わずスラスラ出てきた子も他の子の意見を聞いて納得したり、自分の考えがなかなか上手く言葉にならず戸惑ったりする場面も…。
多くの子が「犬は命があるから、置いていっちゃダメ!」と即答するなか、スタッフさんが「先生、犬アレルギーやねん」と揺さぶります。人が密集する避難所で本当に犬を連れて行ってもいいのか、子どもたちは立ち止まって考え直すことに。
中にはYESとNOのカードを両方出し、「お手伝いを先にしちゃって、空いた時間に自分のやりたいことをやったらいい」といった意見を発表する子もいました。「答えがない」というゲームのスタイルは年齢が下がるほど難しい印象もありますが、スタッフさんの声掛けも手伝って、自分と異なる意見に耳を傾けながら、災害時のジレンマについて想像を膨らませることができました。
事前学習を振り返って
ROJEメンバーによる防災ワークショップの経験と、あそびのばスタッフのみなさんによるアイデアが掛け合わさり、たくさんの学びが生まれた事前学習。どの事前学習でも子どもたちは積極的に意見を発表してくれ、大盛り上がりとなりました。そんな光景が見られたのは、普段から「自分の意見を伝えること」「他の人の意見をきちんと聞くこと」を大切にして子どもたちを見守る「あそびのば“らしさ”」のつまった事前学習だったからかもしれません。
後編では、そんな事前学習でたくさん学んだ子どもたちが大活躍した当日イベントを振り返ります。おたのしみに!