五月祭教育フォーラム2015『21世紀の教育格差』~あなたはどう立ち向かう?~―企画概要


企画概要

21世紀に入り、社会は大きく変化してきた。それに伴い、現代社会で求められる能力が変化しつつある。20世紀までは与えられた最低限の情報を覚え、忠実に作業を繰り返すような能力が求められた。しかし21世紀になり、産業構造が変化すると、単純作業は機械が担うようになった。人間の価値としては、自ら問題を設定し、解決すること、仲間とコミュニケーションをしながら、チームで何かを成し遂げること、新たなものを創造することなどが必要となった。求められる能力が変化すると同時に、教育に求められることも変化している。既存の知識詰め込み教育では、社会で活躍する人材を十分に育成できないと指摘され、徐々に「新しい能力観」を反映した教育が浸透してきている。具体的にはアクティブラーニングやPBLが挙げられるだろう。

その一方、「新しい能力」の一つの問題点として、学校教育だけではその養成を充分に担いきれない、というものがある。なぜならば、この能力は学校現場で学び、努力したところで簡単に身につくものではなく、個々人の生来の資質か、あるいは成長する過程における日常的・持続的な環境要件によって決まる部分が大きいという特徴があるからだ。学校教育で担いきれないと、家庭による教育力に負担が掛かる。つまり、家庭環境によって子どもの教育レベルに差が生じるのである。現代社会では家庭環境の差が子どもにもそのまま受け継がれ、現在ある格差が次世代へと再生産される構造がある。この構造が、社会で必要とされる能力がシフトしたことにより、一層助長されるようになる。新しい能力が求められ、評価される今の時代だからこそ、格差の問題に注目する必要性がある。

格差や貧困の問題の解決は困難で、完全な解はない。単純に経済的な格差だけでなく、「希望格差」という言葉に象徴されるように、ボトム層の家庭では自己効力感の欠如した子どもが多くみられる。また、格差の拡大が広がれば広がるほど異なる階層間の交わりが減り、格差に対して当事者意識を持ちにくい社会構造が生まれる、という懸念もある。改善への方策としては、まず政府による資源の再分配政策などが挙げられる。具体的に教育の場面では、民間塾に依存しない教育内容の充実、少人数学級の拡大、奨学金制度の改善など多くの策が考えられる。国にしかできない経済的、制度的な対策がある一方で、民間にしかできないこともある。一例として挙げられるのは、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の観点からのサポートである。例えばROJEの学校ボランティアプロジェクトでは、大学生が小学校の補助に入ることで一定の効果をあげた。子どもたちは勉強のサポートだけではなく、人生の先輩としてのサポートももらえる、さらに、ボランティアは身近な大人のロールモデルとして接することで、子どもに夢を持ってもらいやすく、彼らの自己肯定感を育む一助となった。家庭や学校で苦しむ子どもに対して居場所を創出することで、救える子どもはたくさんいる。

大学生などのボランティアがこのような困難な社会課題に取り組むときには、まさに、先で述べた「新しい能力」が求められる。答えのない問いを立て、自らの頭で考え、仲間と協力しながらその解決を目指すことは、今社会で求められている能力をはぐくむことに他ならない。格差や貧困の問題のみにとどまらず、様々な社会課題に対して日本の若者が積極的に向き合ってほしい。なぜなら、このことは若者の「新しい能力」を養うと同時に、社会課題解決への第一歩となるからである。“あなた”自身の生き様が問われる混沌とした課題の多き現代社会において、”あなた”自身が社会を変える力となる必要があるのだ。

アーカイブ

ページ上部へ戻る