第二部では、大学生431人への事前アンケートの結果をもとに、グローバル化に対応するため学生はどのように行動すべきか、また教育現場・教師はどのように変わっていくのが望ましいか具体的にお話を伺いました。

「習うより慣れることが大切」

 

鈴木秀康(学生登壇者):「アンケートでは120人の教員志望の学生の中で、83人が『外国人とのコミュニケーションに不安を感じる』と回答しています。私たちはどのように対応していけば良いでしょうか。」

陰山英男先生(以下敬称略):「日本の歴史上、これほど多くの外国の方が国内に入ってくることはかつてありませんでした。しかし基本的には人間と人間のふれあいなので、“習うより慣れろ”です。学生は、大学4年間のうちにとにかく海外へ行くこと。皮膚で触れる以上の学びはありません。歴史を見れば時代を開くリーダー達は常に海外に活路を見出してきています。今、海外に対してアレルギーがあるということが一番危険です。」

鈴木寛先生(以下敬称略):「習うより慣れるチャンスはたくさんあります。心がけを変えれば、明日からでも世界を広げることはできます。留学生が近くにいても、彼らを孤立させてしまっていませんか。どんどん声をかけていきましょう。お互い言いたいことを言い、意見を戦わせて“けんか”して仲良くなる。様々な異文化の中で板挟みになる体験が人を育てます。シェアハウスは特におすすめです。グローバル化の中で、同じ体験をした仲間を作っていけるかどうかが勝負です。」

鈴木秀康:「次に、小学校の英語必修化について取り上げたいと思います。アンケートでは小学校の英語必修化に賛成する大学生は全体の約4割でした。この結果についてはいかがでしょうか。」

陰山:「日本の英語教育は失敗と言われています。まず、英語が話せるようにならない。しかしこの問題は、話す体験を増やすことで解決するでしょう。今後日本国内でも英語を話す機会は増えていくので、会話力は自然と身につくはずです。また英語嫌いにならないようにという、英語コンプレックスから来るいらぬ気遣い(教科書の文章を少なくするなど)が、授業を歪めてしまっている現状があります。
また、今の教育現場の最大の問題が“極端に問題が起こることを避けている”ことです。喧嘩がいじめの芽とされ、トラブルが起きないように友達との間に距離を置く風潮ができてしまっている。しかし、特に異文化コミュニケーションの中ではどうしても文化の違いから衝突が起きる場合があります。それを乗り越えてこそ強固な絆が生まれるのです。」

 

「必要なのは語学力ではない」

 

鈴木秀康:「アンケートでは教員志望学生120人中94人が、“グローバル化の中での教育の変化に、地方の現場は対応しきれない”と考えています。これについてはいかがでしょうか」

小林りんさん:「教員に求められるのは英語力ではありません。中長期的には、“多様性に対する寛容”“問題設定能力”“リスクテイク”の3つの能力が必要です。
多様性に触れたことのない先生が多様性を教えるのは難しいことです。国が先生方のために学習の場を設けることも必要でしょう。短期的には、外国人教員を増やすため、外国籍の方の教員免許取得・運用をもっと柔軟に行えるようにするべきです。」

鈴木秀康:「何かを優先すると、おのずと救われる層と犠牲になる層が出てくるものだと思います。外国人教員を採用した場合、子ども達の能力にトップ層・ボトム層が出てくるのではないでしょうか?」

鈴木寛:「そのトップ・ボトムは偏差値とは異なるものでしょう。グローバルコミュニケーションとは、根本的なコミュニケーション力の問題です。伝えたいことがあり、伝えたい人が存在する、そういった動機を持つことが重要。語学力よりもノンバーバル(非言語)コミュニケーションが大切になってくるのです。
また、苦手意識を認め、コミュニケーションの難しさを肯定しましょう。教師は、“教えよう“と思いすぎているのです。教師が真剣にグローバルコミュニケーションを学ぼうとしているその後ろ姿こそが最高の教育になります。」