五月祭教育フォーラム2014 事後質問&回答


 

五月祭教育フォーラム2014開催後に来場者の皆様から
メールでいただきましたご質問に、
フォーラム登壇者の?山英男先生、鈴木寛先生、小林りんさんの三名に
お答えいただきました。

 

目次

◆質問まとめ

◆各登壇者による回答

?山英男先生

鈴木寛先生

小林りんさん

質問まとめ

Q.1:「母国語を十分に理解していないのに外国語を学ばせることには返って弊害もある」という意見について登壇者の皆さまはどのようにお考えでしょうか。

Q.2小学校3年生よりさらに低年齢の子どもへの英語(質問はあえて多様性云々でなく英語)教育についてどのようにすれば有効なものになるとお考えでしょうか

Q.3:3人の登壇者の方々はみなさん、グローバル人材を育てるには挑戦するマインドや多様な価値観が重要とおっしゃっていましたが、挑戦する心、積極的なコミュニケーションや多様な価値観を受け入れることに関しては国語や社会などの教科でも養えると考えました。

外国語活動もしくは英語の時間にはその時間ならではのものをやるべきで英語そのものの魅力を子供に伝えていくべきだと思ったのですが、具体的に外国語活動もしくは英語の時間に何をすれば良いのでしょうか

Q.4:約束や秩序を守る礼儀正しい日本人が、世界的に見て素晴らしい長所を失わず、グローバル化社会に対応するには、どうするのが最善でしょうか

Q.5:現在留学から帰ってきて就職活動をしていて、高等教育改革(主に大学のマネジメント)を将来的にやりたいと思っているですが、どのような進路から始めるのがよいのか迷っている状態です。教育界(特に高等教育)へ変革をもたらすためにはどのようなキャリアパスから入るのがいいのかアドバイスをいただきたいです。

 

各登壇者による回答

?山英男先生

Q.1:「母国語を十分に理解していないのに外国語を学ばせることには返って弊害もある」という意見について登壇者の皆さまはどのようにお考えでしょうか。

当然のことながら、そのような弊害もあるでしょう。しかし、母国語が完全にできてから外国語を学ばせることが効果的、効率的かというと、そうでもありません。
2つの言語を習得させるためには、一体どのような方法が有効なのかを考えるべきであり、弊害があるから良いとか悪いとかということではありません。また、弊害をどのように改善していくのかという発想が必要だと思います。

Q.2:小学校3年生よりさらに低年齢の子どもへの英語(質問はあえて多様性云々でなく英語)教育についてどのようにすれば有効なものになるとお考えでしょうか。

よく聞く話で、“子どもをバイリンガルに育てるために国際結婚をすることが有効である。しかし、これは相当に難しい”というものがあります。
これをもとにした個人的な考え方ですが、低年齢の頃の2つの言語の習得は、2つの言語を独立して習得していくというように構造上なっていると考えます。例えば、父親が外国人、母親が日本人の場合、父親が日本語を使ったり、母親が英語を使ったりもするでしょう。お互いが異なる外国語を使うことによって、子どもはどちらのチャンネルを使って言語を習得すればいいかに迷い、結果として習得が難しくなることも考えられます。
むしろ、英語は英語、日本語は日本語と、学習する時間や手段が元々決められている学校の方が、実はバイリンガルに育てていく学習環境であると最近考えるようになってきました。
2、3か国語を自然に取得する環境は、世界中にいくらでもあります。日本のように、単一言語でほぼ全てのことがこなせていけること自体が、グローバル化の中では状況が違ってくることになります。そうしたことを考えたとき、どのような方法が有効であるかを考えてみる必要があるでしょう。

Q.3:3人の登壇者の方々はみなさん、グローバル人材を育てるには挑戦するマインドや多様な価値観が重要とおっしゃっていましたが、挑戦する心、積極的なコミュニケーションや多様な価値観を受け入れることに関しては国語や社会などの教科でも養えると考えました。
外国語活動もしくは英語の時間にはその時間ならではのものをやるべきで英語そのものの魅力を子供に伝えていくべきだと思ったのですが、具体的に外国語活動もしくは英語の時間に何をすれば良いのでしょうか。

言語の習得には、言語の基本的な文法や単語など、土台となる部分をきちんと習得させる必要性があると考えます。確かに、外国の子ども達は英語を意識せず生活の場面で覚えますが、日本の場合にはそういう環境がなければ、全く違う観点からカリキュラムを考えたほうがうまくいくと考えています。

しかし、今まで日本の学校でやってきた英語学習が必ずしも間違っているとは思ってはいません。ただ、言語には口語場面と文語場面とがあります。従来の日本の学校教育には口語の英語の必要性がなかった分、文章的な英語の習得に重点が置かれていました。しかし、社会環境の変化によって、聞く・話す場面が多くなってきたので、それに対応できるための変更が求められていると考えています。

Q.4:約束や秩序を守る礼儀正しい日本人が、世界的に見て素晴らしい長所を失わず、
グローバル化社会に対応するには、どうするのが最善でしょうか。

グローバル化社会にあっても、質問者さんが挙げておられるような、約束や秩序を守るといった、私たちの基本的なところは世界的にみても尊敬されているので、積極的に海外に発信していけばいいのではないかと思っています。
ただ、この評価されるべきところが、海外では裏目に出ることがあります。
日本人同士では、モラルや口約束で決まることもありますが、海外ではそういったことが理解されにくく、“契約”で成り立つ契約社会になっています。しかし、日本ではその契約社会という考え方が薄いと感じていますので、そういったところからも考えていくのもいいと思います。

Q.5:現在留学から帰ってきて就職活動をしていて、高等教育改革(主に大学のマネジメント)を将来的にやりたいと思っているですが、どのような進路から始めるのがよいのか迷っている状態です。教育界(特に高等教育)へ変革をもたらすためにはどのようなキャリアパスから入るのがいいのかアドバイスをいただきたいです。

日本の大学のマネジメントというのは、一個人の努力で改善されるものではなく、また、いくつかの大学が取り組んだとしてみても、改革は困難だと思っています。
というのは、現在の日本の大学のマネジメントは、戦前の反省からくる大学の自治に基づくものであって、その大学の自治が独善性につながり、そしてそれが閉塞感につながってきているということが大きな課題だからです。日本の大学を世界に拓くということを考え、制度的なものをひっくるめ、システム的に全てを変えるという大きな発想の転換が必要です。
そうした点でいうと、私は、この大学のマネジメントの改革は、それが適切かどうかは別として、最終的には国会の場において、国策として動きださない限り、部分的な手直しで進むとは思っていません。それほどに大きく根の深い問題だと考えています。
ですから、キャリアパスそのものはどこから入ってもかまいませんが、研究や教育の最前線にいて、現在のシステムのどこにどのような問題点があるのかを具体的にとらえ、さらにどうしていけばいいのか具体を提案する必要があると思います。そうした具体の分析と提案があってこそ、国や制度の改善が進む可能性が出てきますし、逆に現場での問題点や課題が把握されない中での改革というのは、決してよい改革にもなっていかないでしょう。
要は、現場とそのマネジメントがうまく絡み合っていかないとうまくいかないということです。そうした骨格をもとにして、いかなるキャリアパスを得ていくのか、質問者さん自身でも判断してみてください。
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鈴木寛先生

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小林りんさん

Q.1:「母国語を十分に理解していないのに外国語を学ばせることには返って弊害もある」という意見について、どのようにお考えでしょうか。

やはり母国語などの基軸になる言語で、論理的な思考能力を培うということが非常に大事だと思います。そのため、論理的思考能力の形成に支障をきたすほど早い段階から、外国語を覚えることばかりに多くの時間を割く必要はないと思います。ただその来時期になる言語を、英語とする選択肢もあります。必ずしも日本語でなければならないわけではなく、人によっては異なる選択があると思います。

Q.2:小学校3年生よりさらに低年齢の子どもへの英語(質問はあえて多様性云々でなく英語)教育についてどのようにすれば有効なものになるとお考えでしょうか。

やはり子どもの興味が一番大事だと思いますので、無理に時間を割いたり、嫌がる子どもを無理やり教室に通わせたりすることよりも、特に小さいころは、英語が楽しい、英語を使って他の人たちとコミュニケーションすることが楽しい、何かを学ぶのは楽しい、という気持ちをもたせて、学習の動機付けをすることに、焦点をあてることが大事なんじゃないかな、と思っています。

Q.3:3人の登壇者の方々はみなさん、グローバル人材を育てるには挑戦するマインドや多様な価値観が重要とおっしゃっていましたが、挑戦する心、積極的なコミュニケーションや多様な価値観を受け入れることに関しては国語や社会などの教科でも養えると考えました。
外国語活動もしくは英語の時間にはその時間ならではのものをやるべきで英語そのものの魅力を子どもに伝えていくべきだと思ったのですが、具体的に外国語活動もしくは英語の時間に何をすれば良いのでしょうか。

私は、もちろん英語の文法とかをやっていくことも大切なんですけれども、高校レベルになってくるとずいぶん文法ができてくるので、むしろ、英語を使って世界の文学や、様々な文献の原文にあたり、その楽しさの醍醐味にふれていくということが、すごく大事だと思っています。英語を通じて、他国の文化の美しさや、多様性にふれていくということが大事だと思っています。私たちの英語のクラスでは、文法というよりは、英語の文献を通して、英語の原文に触れていくということを教えたいと思っています。

Q.4:約束や秩序を守る礼儀正しい日本人が、世界的に見て素晴らしい長所を失わず、グローバル化社会に対応するには、どうするのが最善でしょうか。

私が、日本で素晴らしいと思うのは、秩序や礼儀、規則正しさや清潔さだと思います。学校でも自分たちで掃除をする文化があるじゃないですか。とても大事だと思います。世界的に見ても、そのような文化は、私の知る限りでは実は日本を含めて数カ国でしかみられません。自分が掃除をするであろう場所を汚そうとは思わないし、掃除をするからこそ、汚したときにそれを清掃する人の気持ちがわかります。だからこそ、日本が綺麗なのだといます。インターナショナルスクールは一般的に、掃除は清掃員の方が行い、生徒は掃除をしないことが多いのですが、それはちょっと違うんじゃないかな、と思っています。私たちのスクールでは、生徒たちに自分で清掃してもらう習慣を取り入れ、相手の気持ちを考えられるようにしていきたいと思っています。

また、大学生の年齢くらいまで日本に住んでいれば、日本人らしい長所というのは、自然に身についているものだと思います。ただそれを忘れないようにすればいいのです。他国に対して劣等感を感じたり、欧米に合わせないと、と思う必要は全くないと思います。日本人は日本人の長所を誇りに思い、それを大切にしながら、むしろ海外に向けてアピールしながら戦っていくくらいの気持ちでいいと思います。

たとえば私は、3.11のときのエピソードはたくさんの人に言っています。3.11のカオスのなか、スーパーマーケットで略奪が起こらない国は、ほとんどありません。震災などのカオスにおいて、スーパーマーケットでは食料品を持ち去られてしまうことが多いです。しかし日本ではそれが行われませんでした。そればかりか、翌日に、通勤のため電車に6時間人が並んでいる、ということが日本では起こりました。それを見て世界は賞賛したのです。そのようなエピソードをことあるごとに話すようにしています。また、自分自身、世界で、たとえば空港のなかでカオスのときでも秩序を保とうとしますし、そういうときに話をしたりもします。特に震災のエピソードは、日本人の長所を世界に知らしめたと思います。そういったことを、自分で具体的なエピソードとして勉強して、伝えられるように持って行くということが大事です。

Q.5:現在留学から帰ってきて就職活動をしていて、高等教育改革(主に大学のマネジメント)を将来的にやりたいと思っているですが、どのような進路から始めるのがよいのか迷っている状態です。教育界(特に高等教育)へ変革をもたらすためにはどのようなキャリアパスから入るのがいいのかアドバイスをいただきたいです。

※高等教育は専門ではないので、鈴木寛先生に伺ってほしいとのことでした。
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