関西教育フォーラム2015 コラム⑦一人も見捨てない教育~「原学級方式」と「同和教育」~

11.16


みなさんこんにちは。伊藤駿です。今日はスウェーデンからスコットランドに移動する途中でこの記事を書いています。今更ながらヨーロッパに行くのは今回が初めてで、毎回ドキドキしながら移動しています(荷物の心配しながら)。

さて、今日のテーマは「一人も見捨てない教育」です。実はこれから3回分は自分の研究関心との親和性も高く、とても書きやすいですが、書きすぎてしまいすぎる気もしています。
副題には、「原学級方式」「同和教育」という2つのキーワードをあげました。どちらも大阪の教育を語る上で外せないキーワードだと思っています。

まず前者について説明します。原学級方式という言葉自体はおそらく正式なものではありません。またこの表記について反対されている方がいるのも事実です。簡単にいうならば子どもの教育的ニーズにかかわらず、同じ学級の中で教育をしていこうというものです。これも諸説ありますが、2007年の特別支援教育がスタートしてから特別支援学級、学校(以下、特学と略記)に在籍する子どもの数は増加の一途をたどっています。これは特学が個々の教育的ニーズに応答することができていると考えることもできますが、逆に言えば通常学級から排除されている子どもが増えているとも考えられます。

大阪の原学級方式では、確かに特別支援学級籍の子どもも存在しています。しかしその子供たちへの教育も大部分を通常学級の中で行っています。その理由は後で述べる同和教育の流れから「別の場での教育」ということへの抵抗があったことも事実でしょう。しかし、全国的に特学への在籍児童数が増加する一方で、通常学級での教育にこだわり、また学力保障への取り組みを続けている背景には「一人も見捨てない」という共通見解があるからこそ成立しているように思います。

後者の「同和教育」については、聞き覚えがある人もない人もいる言葉でしょう。私は学校教育の全てを千葉県の公立、私立で受けてきましたが、この言葉と出会うことはなく、大学院入試の時に初めて知りました。この言葉は、被差別部落(この言葉がどこまでを指すかという明確な定義はありません)の子どもたちの学力保障に向けた取り組みを指すことが多いように思います。

被差別部落の教育は今となっては想像もできないほど劣悪な時代がありました。保護者が子どもを学校に行かせない/行かせられないために、貧困の再生産が繰り返されており、そこからの脱却のための取り組みも様々にされました。識字教育など、今となっては当たり前にみんなができることだと考えられている水準から行う必要があったようです。特に大阪はその同和教育(解放教育)が盛んであり、様々な差別からの解放に向けた教育実践や副読本『にんげん』が無償配布されていた事実もあります。

「一人も見捨てない教育」。この言葉は、どのような立場であれ、その子どもの学力保障へ向けて歩み続ける教育を指し示しているように思います。以前も紹介した通り、残念ながら子ども自身にはどうしようもない生まれた時点での差が学力への影響を与えていることは事実です。

そのような状況を再生産するのではなく、乗り越えるために、私たちは何ができるのでしょうか。

参考文献
藤田修 1998 『普通学級での障害児保育』 明石書店
高田一宏 2008 「同和地区における低学力問題」『教育学研究』75,2,pp.180-191

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フォーラム概要

■テーマ:「教育格差」

■開催日時:2015年11月22日(日) 14:00~16:30(途中入退場可)

■場所:京都大学吉田キャンパス法経本館第七教室

■入場料:無料

■主催:NPO法人日本教育再興連盟(ROJE)

■登壇者:?山英男氏(立命館大学教育開発推進機構教授・立命館小学校校長顧問・

     NPO法人日本教育再興連盟代表理事)

     若槻健氏(関西大学文学部准教授)

■特別ゲスト:西矢大亮先生(茨木市立郡山小学校)

■後援:京都府教育委員会

    京都市教育委員会

    文部科学省

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・参加申込はこちらのフォームからお願いいたします

※今回のフォーラムでは、事前に申し込みをしていただいた方の中から抽選で本を配布します!詳しくはこちら!

・フォーラムに関するお問い合わせは関西学生事務局(roje.kansai@gmail.com)まで

・関西教育フォーラムの詳細や登壇者の詳しい紹介についてはこちらからご確認いただけます!ぜひご覧ください!

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