関西教育フォーラム2015 コラム④3つの資本

11.11


みなさん、こんにちは。伊藤駿です。これを書いている時は調査でスコットランドに来ており、日本語を書くのに少し戸惑っています。僕はいまスコットランドにあるThe university of Dundeeに来ており日本語にするとダンディー大学というなんとも冗談みたいな名前の大学にいます(笑)

さて、今日お話するのは、私たちも学力への大きな影響要因だと考えている、3つの資本についてです。もちろんこれを詳しく書き始めるとキリがないので、これも多くの部分を捨象しながら書いていきます。もし興味がある方は、最後に参考文献として載せているものを読んでいてだければと思います。IMG_4118

 

3つの資本。それらはそれぞれ「経済資本」「文化資本」「社会関係資本」といいます。

まず「経済資本」。これは家庭にどれほど経済的な資本があるか、教育に限って言えば、どれだけ教育にお金をかけられるかを指します。もちろんお金持ちでも教育に多くを費やさない家庭もあるかもしれませんが、例えば塾に行くにしても家庭学習用の教材を買うにしてもそれができるかどうかは、その家庭の経済状況によって左右されるといえるでしょう。

続いて「文化資本」は少しイメージがしにくい言葉です。例えば幼児期にどれだけ本に囲まれて生活をしていたか、読み聞かせをされたかなどが挙げられます。また学歴もこれにあたり、総じて個人的資産を指します。ただし金銭を除いています。

最後に「社会関係資本」。これは「ソーシャルキャピタル」と言われるものです。簡単に言えば人脈などと考えることもできますが、もう少し考えていきます。パットナムは、ソーシャルキャピタルが豊かである例として、地域のつながりが豊かであることを挙げています。この例から、ソーシャルキャピタルは、ただの人脈というよりも、より広義にどれだけ他者と顔を見合わせる機会があるか、また地域との関係性と考えることができるでしょう。つまり、子どもの社会関係資本と言えば「地域の行事への参加」や「自分の地域の歴史などへの興味の有無」などと考えることも可能です。文化資本との差は、それが個人的資産か他者との間にあるものかという説明がなされます。

もちろん、社会関係資本を得られるような環境は文化資本や経済資本に恵まれた家庭だという意見、言ってしまえばこれらの従属変数にすぎないという研究もあり(平塚, 2006)、それぞれが完全に独立しているとは言えません。

しかし、これまでの研究からこれら3つの資本の有無が学力に与える影響は小さくないことが明らかにされています。これらがどれほど影響を与えるかという話はフォーラムの中でも出てくるでしょうからここでは割愛します。また、これらの資本が欠けていたから低学力に必ずなるというものではありません。

考えなければならないのはこれらが、果たして子どもがコントロールできることかということです。こういう子どもたちではどうしようもないことが子どもの学力に大きく影響を与えている、これを解決するためには「子どもの努力ない」とその原因を子どもに帰するだけではいけないのではないでしょうか。

 

参考文献

志水宏吉 ?『「つながり格差」が学力格差を生む』,2014年,亜紀書房

J.E.Coleman, Foundations of Social Theory, Belknap ?Press, 1994, p300

稲葉陽二 『ソーシャル・キャピタル入門』 中公新書 2011年

高田一宏, 2008, 「同和地区における低学力問題―教育をめぐる社会的不平等の現実―」『教育学研究』第75巻第2号, pp.36-46.

平塚眞樹, 2006,「移行システム分解過程における能力観の転換と社会関係資本:質の高い教育」の平等な保障をどう構想するか?」『教育学研究』第73巻4号, pp.391-402.

 

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フォーラム概要

■テーマ:「教育格差」

■開催日時:2015年11月22日(日) 14:00~16:30(途中入退場可)

■場所:京都大学吉田キャンパス法経本館第七教室

■入場料:無料

■主催:NPO法人日本教育再興連盟(ROJE)

■登壇者:?山英男氏(立命館大学教育開発推進機構教授・立命館小学校校長顧問・

     NPO法人日本教育再興連盟代表理事)

     若槻健氏(関西大学文学部准教授)

■特別ゲスト:西矢大亮先生(茨木市立郡山小学校)

■後援:京都府教育委員会

    京都市教育委員会

    文部科学省

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・フォーラムに関するお問い合わせは関西学生事務局(roje.kansai@gmail.com)まで

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