関西教育フォーラム2015 コラム②機会の平等と結果の平等?日本の教育格差を巡る議論?

11.03


 みなさんこんにちは。伊藤駿です。どうでもいいですが、関東よりも関西の方が伊藤という苗字をよく目にする気がします。
 さて、今回のコラムは「機会の平等と結果の平等」について考えていきたいと思います。前回中途半端になっているeducation for allについても触れていきます。

 いきなりですが、日本の教育は平等でしょうか。カミングスという人が1981年に書いた『ニッポンの学校』には日本の学校教育の平等性について割と肯定的に描かれています。考えてみれば、ほとんどの子どもが6才から15才まで同じような教育を無償で(もちろん一部の費用負担はありますが)受けられるというのは「平等」に与えられているように思います。

 しかし皆さんがご存知の通り、その教育が全員に効果的であり、同じような結果をもたらすことはありません。特に高校受験の段階でそれは可視化されていきます。いわゆる優秀な学校に行ける生徒とそうでない生徒がおのずと発生し、またその高校の大学進学実績をみればその先の未来はある程度見えてきてしまうものです。では、一体なぜそのような差が発生するのでしょうか。

 志水(2009)の調査結果をはじめ、教育社会学の領域においては、学校がどれほどしんどい家庭や子どもを抱えているか、という「学校背景」が大きくその学校の平均点すなわち学力に影響を与える、という結果が示されています。言い換えるならば、子どもたちの学力はある程度生まれてくる環境によって決まっている、という平等性のかけらもないような知見があるのです。

 education for allの考え方は、確かに大切なものです。特に発展途上国の子どもたちの識字率向上や教育機会の提供などに寄与していることは間違いありません。日本が抱えている課題は言ってしまえば贅沢な悩みかもしれません。しかし、困っている子どもがいればそのために何ができるのかを考えていく必要があるのではないでしょうか。

 日本の小学校は、子どもが6才の時点である程度の日本語をしゃべることができて、おそらくひらがな程度であれば書けることを前提としています。しかし、それだって必ずしも全ての子どもがそうであるとは限りません。少なくとも筆者は外国にルーツを持つ子どもで、入学時に日本語サポートが必要な子どもを見てきましたし、どれだけ就学前教育にお金をかけられるかは、その家庭によるでしょう。

 つまり機会が平等なように見えて、実はその前提に立てない子どもはより置いていかれるシステムが今の教育システムだとも考えられるのです。もちろん、日本語教室をはじめ、そういった問題へのアプローチは徐々になされています。しかし、昨今話題にのぼる「子どもの貧困」など、家庭背景が想像以上にしんどい子どもが多くいます。

 本当の意味でのeducation for allは、そういった多様な背景を子どもが持っていながらも、きちんと学業達成が可能になるような教育システムを目指すことなのではないでしょうか。機会の平等が本当に平等と言えるのか。今一度見直してみる必要があるように思います。今回の関西教育フォーラムは特に「結果の平等」つまり学力達成に注目して論を展開します。

 それぞれが複雑な背景を持ちながらもしっかりとした学力達成をするためには何が必要なのか。ぜひ一緒に考えていきましょう。次回は、「学力」とは何かというお話をします。全国学力テストは本当に学力を測っているのか?ぜひまたお会いしましょう。

参考文献
カミングス(著)・友田泰正(翻訳) 1981 『ニッポンの学校』 サイマル出版会
志水宏吉 2009 『「力のある学校」の探求』 大阪大学出版会

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フォーラム概要

■テーマ:「教育格差」

■開催日時:2015年11月22日(日) 14:00~16:30(途中入退場可)

■場所:京都大学吉田キャンパス法経本館第七教室

■入場料:無料

■主催:NPO法人日本教育再興連盟(ROJE)

■登壇者:?山英男氏(立命館大学教育開発推進機構教授・立命館小学校校長顧問・

     NPO法人日本教育再興連盟代表理事)

     若槻健氏(関西大学文学部准教授)

■特別ゲスト:西矢大亮先生(茨木市立郡山小学校)

■後援:京都府教育委員会

    京都市教育委員会

    文部科学省

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・フォーラムに関するお問い合わせは関西学生事務局(roje.kansai@gmail.com)まで

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